猫の背中や唇にぶつぶつができている。しかも、かなり痒がっています。
もしかしたら人間と同じように猫でもアレルギーはあるのでしょうか。
アレルギーと区別がつきにくい肉芽腫とは?
病状や治療法について解説してきたいと思います。
1 猫の背中や唇にぶつぶつはアレルギー?
1-1 猫もアレルギーを持つ?
猫も人間と同じようにアレルギーがあります。
繊細な猫ですので、ストレスに弱く発情期の時には、ホルモンバランスが悪くなったりもします。
そのことによって、突然アレルギー反応を起こして体にいろいろなものができるのです。
1-2 猫がかかる主なアレルギー皮膚炎
・ノミアレルギー性皮膚炎
ノミが、首・背中・お尻などの生息し、ノミの唾液から猫の体に浸透します。唾液の中にアレルギーを起こす原因物質「アレルゲン」があるとされています。
・アトピー性皮膚炎
首の部分の皮膚、顔・耳の後ろに強いかゆみがでます。
アトピー素因(アトピーになりやすい体質)を持つ猫が、部屋のほこり・花粉・カビの胞子などのアレルゲン物質を吸ったり、皮膚に付くことによって反応し、痒くなります。猫はたまらずかいていくと皮膚が黒くなってしまい悪化します。
・アレルギー性皮膚炎
ノミの唾液以外での原因物質「アレルゲン」が起こす皮膚炎です。
例えば、食物アレルギーですね。あるモノだけを食べたら皮膚上(体全体)にぶつぶつが突然現れて、かゆみが襲ってきます。金属アレルギーも同じです。
・ニキビダニ症(毛包虫症)
首の周り・顔面の周囲・頭全体に皮膚炎を起こします。また、頭・背中・お腹にも発症する場合があります。体長2~3mmの細長いネコニキビダニが猫の体内で悪さをします。
・疥癬(かいせん)ダニアレルギー
ネコショウセンコウヒゼンダニが皮膚に寄生し、アレルギー反応を起こします。
耳全体の皮膚に脱毛や赤い(ぶつぶつ)ができる、フケが多くなる・抜け殻のような皮が沢山出てくるようになります。
2 猫特有の皮膚病・好酸球性肉芽腫症候群
2-1 好酸球性肉芽腫症候群とは
好酸球性肉芽腫症候群、通称肉芽腫は、よくアレルギー皮膚炎と似ていると言われています。
病状が見た目かなり似ていて、獣医さんでもアレルギーか肉芽腫か迷うくらいなのです。
皮膚に白血球の1種である好酸球(こうさんきゅう)が集まって、塊となり肉芽腫(にくがしゅ/にくげしゅ)ができる皮膚炎です。
2-2 肉芽腫が起こる原因
多くの専門家から言われていることは、原因がまた特定できていないことです。肉芽腫の全体像は、今だに謎だとされています。唯一、アレルギーにより肉芽腫を発病させるのではないかとも言われています。
ここが、獣医さんがアレルギー皮膚炎と肉芽腫の判断がつきにくい所ですね。
しかも、病型があり、無痛性潰瘍、好酸球性プラーク、好酸球性肉芽腫と3つあります。
2-3 無痛性潰瘍(むつうせいかいよう)
潰瘍ができます。唇の周り・上下、光沢のある赤っぽい色で膨れて潰瘍となります。
中心部は白く小さいへこみがあり、壊死をしてる場合があります。時々出血があり、痛みやかゆみといったものはありません。
メス猫に出来やすいようです。
2-4 好酸球性プラーク(好酸球性局面)
脇の下・指の間・腹部や内また・脇の下・首など関節部分にできやすいようです。
病状は、かゆみがあり、かいていくうちに脱毛と皮膚が赤くなっていきます。また、びらん(ただれていること)になることもあります。
2-5 好酸球性肉芽腫
好酸球性肉芽腫には、2つタイプがあります。
・線状肉芽腫
生後半年から1歳齢頃に発病します。病状としては、腹部の横・太ももの後ろ・前足の外側に一直線の線状ができます。
かゆみはないのですが、フケや紅斑・脱毛ができます。
・ 口の中に大きな肉芽腫ができるタイプ
口の中に肉芽腫ができるのですから、水が飲みにくい・食べ物が呑み込めないといったことが起きます。
3 肉芽腫の治療法
3-1 肉芽腫の治療は難しい
腫れている・穴をふさぐなど、外科手術なら治療ができますが、肉芽腫のメカニズムはまた解明されていません。
アレルギーとの関連性もあります。治療は長期戦とみていいですね。
3-2 ステロイド、抗菌剤や外科手術
皮膚が荒れているところは、合成副腎皮質ホルモン剤などの薬剤(ステロイド、抗菌剤など)、免疫抑制剤でコントロールしながら、ノミ予防・低アレルギー食など検査で出たアレルギー反応の元を改善していきます。ただし、ステロイドは副作用あります。
また、元が膿んでいたり、化膿していた場合は、レーザー療法か外科手術で取り除きます。値段は10000円くらいです。
4 肉芽腫の対策
4-1 まずは、各アレルギーの元があるかないか。
血液検査で好酸球(白血球の一種)が増加しているかどうか、細胞の一部を顕微鏡で判断します。
また、同じように血液検査で、猫のアレルギーが何によって起こされるかを調べてみてみます。例えば、飼っている猫が何にアレルギーを反応するかですね。できれば、病院で調べましょう。
保険適用上限の13種類調べることができます。値段は3000円~6000円くらいですね。
4-2 アレルギーを特定して、ひとつづつ除去する
猫の生活リズムをノートに、その日の行動でなにがアレルギー反応起こすか?変化はなかったかと書いていきます。ほかにも、食事ではこれを食べたら悪くなった、薬は、何を飲んでいるかなど記録していきます。その上で、改善策を考えて、元をつぶしていきます。
アレルギーやストレスなど「免疫」とかかわっているとされて、再発することもありますので、記録をとっておくと検証しやすくなります。
4-3 長期になったら、獣医さんの判断を疑ってみる
獣医さんによっては、アレルギーか肉芽腫かで判断に迷うことがあります。
飼い主さんがあらゆる対策をして、獣医さんに意見も取り入れて治療したのにそれでも長く治療がかかっていると感じたら、獣医さんの判断を疑ってみましょう。病院を変えてみることも検討してください。
飼い主さんがしっかりと猫の容体を把握することから始めて、獣医さんとの関係が円滑にかつ信頼できることで、安心して治療ができます。
まとめ
肉芽腫は総合的なアレルギー皮膚炎かもしれません。
猫の背中や唇にぶつぶつができて、ただのアレルギーなのか肉芽腫なのかはやはり治療法や対策など変わります。
獣医さんに頼るだけでなく、まずは飼い主として猫の様子や病状などしっかりと記録するようにしてください。
猫の置かれている環境やストレスなどを考えながら、誠意をもって肉芽腫の治療にあたりましょう。