ついつい触れたくなる猫のチャームポイントの一つ「ひげ」は、猫が生きる上でとても大切な役割を担っている器官です。
猫の髭の本数や長さや色合いはどうなっているのでしょうか。
どういった構造で、どんな働きをする役割があるのかといったことや、髭のお手入れやカット方法などについてご紹介します。
①猫のひげの本数や長さは?
猫の顔には「上毛」、「頬骨毛」、「口角毛」、「頭下毛」、「上唇毛」と大きく分けて5か所に50~60本のひげが生えており、ひげ全ての先端を線で結ぶと、体の幅より少し大きな円状の形になります。
髭の長さはまちまちですが4〜5cmくらいの髭が多いですね。
顔の両側にあり水平に4段に並んだひげは、上下2段ずつ別々に動かせるようです。
また、面白いことに前足の後ろの方にもひげがあり、顔に生えているひげと同じ働きをしています。
②ひげの役割
ひげや、口元(ω:マズルと呼ばれる部分)には多くの神経が集中し、猫にとってはとても大切な器官です。
体毛よりも2倍以上太く、皮膚より3倍以上も深い場所から生え、人間の2000倍も感度がある“ひげ”には生きていくために必要な多くの役割があります。
☆感覚器(センサー)としての役割
・目の保護:顔の近くに物がある場合にまぶたを閉じて目を守る。
・目の補助:近くのものが見えないため、ひげで食べ物を感じ取る。
・空気の流れ、気温、湿度を感じ取る:ゆっくり動くものは見えにくいため、何かが動いたことを空気から敏感に感じ取る、暗闇の中でも動けるようにする、居心地の良い場所を見つける。
・自分と物との距離を測る:狭い場所でも通れるかどうかを判断する、獲物との距離を測る。
・平衡感覚:高い場所を歩く、まっすぐ歩くといった猫の平衡感覚を支える。
☆感情表現を行う役割
ひげの向きから感情を読み取ることができます。
・前:興奮、興味
・広がっている:周囲の様子を伺う
・上:満足、上機嫌
・下(または、顔に張り付く):体調不良、リラックス状態
③猫の髭のお手入れやカットは?
基本的にひげのお手入れは不要です。極度に顔やひげが汚れていて自分で対処しきれないような時にはシャンプーをする、湿らせた柔らかい布で顔をぬぐう、といった位で良いと思います。
また、感覚器官として重要な働きをしているひげは絶対にカットしてはいけません。
障害物を認識できなくなったり、安全な場所を歩けない、日常生活に支障が生じるため気力がなくなり動こうとしなくなる、過剰にストレスを溜めて死んでしまうといったこともあります。
そのため、飼い主としてのお手入れは余程酷い汚れがある以外では行わず、猫自身に任せるようにするのが良いでしょう。
④猫のひげの色は?
猫も人間と同じように年齢を重ねることによって、だんだんとひげの色が変化します。
人間の場合は黒から白髪へ変化していきますが、猫の髭は「白」から「灰色」に変化していくことが多いです。
目の色の変化や、髭の色の変化も観察してみてくださいね。
⑤ひげの抜け替わり
ひげは半年に一回程のサイクルで、自然に抜け、新しい毛が生えてきます。
ただし、慢性的にひげが抜ける様子がある場合は、ニキビダニや皮膚病、ストレスの心配があるため皮膚全体の状態を確認したり、判断が難しい場合は早めに病院を受診しましょう。
⑥猫の髭はお守りになる?
ヨーロッパなどでは猫のひげは恋愛、幸運、厄除けのお守りとして大切にされているようです。
抜け落ちたひげはなかなか見つからないものですが、もし見つけたらそれは幸運の証かもしれません。
猫のひげをお守りにすると金運効果アップ?財布に入れるとご利益?
⑦まとめ
猫の口元やひげはついついイタズラしてしまいたくなる魅力ある場所ですが、猫にとってとても繊細で大切な器官であるため、大切にしてあげましょう。
人間の男性であれば、髭を丁寧に手入れしていることが清潔、誠実という評価につながりますが、猫の髭の手入れやカットは不要です!
自然にぼうぼうと伸ばしてあげることが猫ちゃんのためになりますね。