猫だけでなく、動物、植物(花粉)、食物とアレルゲンは世の中に数え切れない程あります。
辛いアレルギーとは一刻も早くお別れしたい、そう願ってやまない人もたくさんいらっしゃると思います。
猫好きの人は猫アレルギーを治したい気持ちでいっぱいです。
そんな辛いアレルギーを克服するため、原因物質特定や、治療法が模索されているのですが、新しいアレルギー治療薬の情報や治療法についてご案内します。
①アレルギーの仕組み
特定の物質に対する抗体が出来上がることで、体が異常に反応してしまう(特定物質を排除するため一斉攻撃してしまう)状態に陥ってしまうのがアレルギーです。
遺伝的な病気ではなく、主に環境により後天的に発症する病気といえます。
②新しく解明されたアレルギー関連物質
☆マンノース受容体「Fel d 1」
猫アレルギーの誘因物質として新発見されたタンパク質です。
猫の唾液に含まれており、毛繕いを行うことにより猫の体表面に付着、また抜け毛と一緒に空気中に浮遊、霧散したタンパク質が、ありふれたバクテリアの毒素と反応することによりアレルギー誘発物質へと変化するようです。
この物質へ対処できる薬が開発されれば、猫アレルギーだけでなく、ほかの動植物やダニなど各種アレルギーへの対処が可能になるとのことです。
新薬開発には最低でも5~10年は必要という意見があるものの研究が進められており、この薬ができることで多くの猫アレルギー、喘息患者が救われることになるでしょう。
☆猫アレルギー治療としてTレグ細胞の可能性
免疫細胞には攻撃、攻撃を阻止するといった2つの細胞があり、Tレグ細胞は攻撃を阻止するための細胞です。
必要な時に必要以上の反応から体を守る「Tレグ細胞」が体の中に多く存在することで、過剰反応であるアレルギーが起こりにくくなるという発見が近年されています。
「Tレグ細胞が増えるのは3歳位まで」、この時期に色々な種類の食べ物を摂取することや、家畜の出す細菌に触れる機会を作るということです。
猫アレルギーから赤ちゃんが喘息にかかる危険性と対策や予防法は?
アーミッシュではアレルギーを発症する人が少なく、小さい頃から家畜と触れ合う生活を行っていたことで血液中のTレグ細胞が一般の方より35%多く、アレルギーを防止できていたというデータがあります。
外敵について知識豊富なTレグ細胞が体の中に多く存在することで、体の異常反応を防ぐことが可能という発見です。
Tレグ細胞も、猫アレルギーだけでなくアレルギー全般に対処可能なようです。
③猫アレルギーの環境対策
猫アレルギー自体を予防するという意味では、掃除は当たり前です。
埃を溜め易いぬいぐるみはなるべく置かない、家具の材質を考慮するというのも一つの方法です。
部屋の広さをカバーできる空気清浄器を各部屋に1台は置けるのが理想ではありますが、なかなか難しいため、猫が絶対に入らない部屋を作るというのも手です。
すでに猫を飼われている方は、猫に触れた場合に手を洗うことを徹底すると良いです。
④アレルギーの新治療法
☆舌下免疫療法
2年間、舌下から少量のスギ花粉を継続的に摂取し続ける治療法です。
この治療法を行うことで、スギ花粉に対するTレグ細胞を増やすことが可能となります。
保険適用外の治療法にはなりますが、治療を行った患者のほぼ7割が改善したようです。
また、花粉だけでなく、ほかのアレルギーに対する舌下免疫療法も次々と開始されているため、アレルギー治療を行いたいといった方は一度病院での相談を行ってみるのも良いでしょう。
☆スギ花粉成分入り治療米
スギ花粉を含んだタンパク質を混ぜた食用米(遺伝子操作により安全にしたもの)を、毎日1回食べる治療法です。
この治療法を行うことで、スギ花粉に対するTレグ細胞を増やすことが可能となり、次の花粉シーズンには症状が発症しないとのことです。
2か月間食べ続けた臨床試験では、花粉への異常攻撃が50%軽減できたというデータもあります。
☆アレルギー物質の注射
安全な状態にしたアレルギー物質を小量注射するという治療法です。
重度の猫アレルギー患者でも大きな改善が見られたとのことです。猫をどうしても飼いたい方で猫アレルギーがひどい方は一度病院で相談されてくださいね。
⑤まとめ
体内にはたくさんの菌が存在し、その菌が体を健康に保つための働きをしてくれます。
皮膚表面は基本的にあまり防御面で強固ではなく、一度ケガをすると再度ケガをしたときのために過剰に防衛してしまいます。
それがアレルギー(過剰)反応です。
新しく発見されたアレルギーの治療法が一刻も早く確立し、猫アレルギーだけでなくアレルギー全般で悩みを抱えない世界になることを期待しています。